令和元年12月27日
「日本の英語教育について」
■なぜ英語を学ぶのか
外国語を学ぶことは、その国の文化や習慣、社会構造を知るきっかけとなる。外国を知ることで、視野や考え方の幅を広げるとともに、自国との比較対象もでき、日本への理解がいっそう深まる……外国語を学ぶ意義の一つとして、多様な価値観を受け容れるとともに、自国の再認識に繋がると、これまでも頻繁に言われてきた。
加えて、人口減少と高齢化が同時に進み、社会の体力が減少していく中で、早急に国際競争力を高める必要がある。特に成長著しいアジアを舞台にビジネスを進めるためには、国際共通語である英語の習得は欠かせない。世界を舞台に即戦力として働ける人材を求める、経済界からの強い要請がある。
いよいよ来年度から小学五年生以降の英語が「必修教科」となる。小学校への英語教育導入には賛否のある中、小学校現場では着々と準備が進んでいるが、英語教育は今後どのように展開すればよいのだろうか。
■英語習得の必要性
最近では、小型の同時通訳機器の性能も向上し、様々な場面で活用されている。今後AIが発達したら、外国語を学ぶ必要も薄れるのではないかという指摘もある。しかし、真意が伝わっているかどうかを確認するためには、機器を活用する側に、少なからず外国語の知識は必要ではないだろうか。機器や第三者を介したコミュニケーションよりも、相手との直接的なコミュニケーションの方が、より良好な関係を築きやすい。ネットワークの発達によって、世界中の人々との対話が容易な環境になりつつある。今後、英語はコミュニケーションの「道具」として、ますます必要になるはずである。
■英語習得のカギとは
ずいぶん前から「英語習得の近道は海外留学」と言われてきた。英語を使わざるをえない状況に身を置くことが、英語習得の近道であることに間違いはない。日本国内で、そのような環境を整えることは難しい。
新学習指導要領では、教師が「英語を教える」授業から、児童・生徒が主体的に「英語を学ぶ」授業への転換を求めている。子供たちの「英語を学びたい」という主体性を喚起させる仕掛けを授業に組み込む必要がある。今後、教室内のICT環境が整備され、児童・生徒にタブレット端末が一台ずつ準備された場合、AIやビッグデータと連動させることで、一人ひとりの学習状況に応じた教材の提供がスムーズになり、いわゆる「個別最適化」が図られることになる。日本では、すでに様々な語学教材が開発されている。また海外の児童・生徒とコミュニケーションをとる機会を提供すれば、子供たちの学習意欲も刺激されるのではないだろうか。この主体性の喚起が英語習得のカギとなる。
英語習得のためには「読む、書く」だけでなく、やはり「聴く、話す」活動が不可欠である。そして、自然に英語を駆使できるようになるまでには、英語に触れる一定量の時間が必要である。多くの場合、その一定量に達する手前で、「自分は英語ができない」と諦めているのではないか。英語習得には、前述の主体性に加えて、粘り強く反復する地道な練習も重要である。
■忘れてはならないもの
英語をコミュニケーションの「道具」として習得する前に、必ず踏まえなければならないことがある。それは、日本語によって思考の基礎を築くことである。この「私」は何者であり、どこから来て、どこへ向かおうとするのか。その思考を根底で支えるのは、母語、日本語である。まずは日本語を磨き、日本語による思考を通して、相手に伝えるべき「私」を知ることが肝要なのではないか。伝えるべきものを持たなければ、英語という「道具」が流暢に使いこなせても、表面的なコミュニケーションに留まってしまう。言語教育の根本が問われているのである。
外国語を学ぶことは、その国の文化や習慣、社会構造を知るきっかけとなる。外国を知ることで、視野や考え方の幅を広げるとともに、自国との比較対象もでき、日本への理解がいっそう深まる……外国語を学ぶ意義の一つとして、多様な価値観を受け容れるとともに、自国の再認識に繋がると、これまでも頻繁に言われてきた。
加えて、人口減少と高齢化が同時に進み、社会の体力が減少していく中で、早急に国際競争力を高める必要がある。特に成長著しいアジアを舞台にビジネスを進めるためには、国際共通語である英語の習得は欠かせない。世界を舞台に即戦力として働ける人材を求める、経済界からの強い要請がある。
いよいよ来年度から小学五年生以降の英語が「必修教科」となる。小学校への英語教育導入には賛否のある中、小学校現場では着々と準備が進んでいるが、英語教育は今後どのように展開すればよいのだろうか。
■英語習得の必要性
最近では、小型の同時通訳機器の性能も向上し、様々な場面で活用されている。今後AIが発達したら、外国語を学ぶ必要も薄れるのではないかという指摘もある。しかし、真意が伝わっているかどうかを確認するためには、機器を活用する側に、少なからず外国語の知識は必要ではないだろうか。機器や第三者を介したコミュニケーションよりも、相手との直接的なコミュニケーションの方が、より良好な関係を築きやすい。ネットワークの発達によって、世界中の人々との対話が容易な環境になりつつある。今後、英語はコミュニケーションの「道具」として、ますます必要になるはずである。
■英語習得のカギとは
ずいぶん前から「英語習得の近道は海外留学」と言われてきた。英語を使わざるをえない状況に身を置くことが、英語習得の近道であることに間違いはない。日本国内で、そのような環境を整えることは難しい。
新学習指導要領では、教師が「英語を教える」授業から、児童・生徒が主体的に「英語を学ぶ」授業への転換を求めている。子供たちの「英語を学びたい」という主体性を喚起させる仕掛けを授業に組み込む必要がある。今後、教室内のICT環境が整備され、児童・生徒にタブレット端末が一台ずつ準備された場合、AIやビッグデータと連動させることで、一人ひとりの学習状況に応じた教材の提供がスムーズになり、いわゆる「個別最適化」が図られることになる。日本では、すでに様々な語学教材が開発されている。また海外の児童・生徒とコミュニケーションをとる機会を提供すれば、子供たちの学習意欲も刺激されるのではないだろうか。この主体性の喚起が英語習得のカギとなる。
英語習得のためには「読む、書く」だけでなく、やはり「聴く、話す」活動が不可欠である。そして、自然に英語を駆使できるようになるまでには、英語に触れる一定量の時間が必要である。多くの場合、その一定量に達する手前で、「自分は英語ができない」と諦めているのではないか。英語習得には、前述の主体性に加えて、粘り強く反復する地道な練習も重要である。
■忘れてはならないもの
英語をコミュニケーションの「道具」として習得する前に、必ず踏まえなければならないことがある。それは、日本語によって思考の基礎を築くことである。この「私」は何者であり、どこから来て、どこへ向かおうとするのか。その思考を根底で支えるのは、母語、日本語である。まずは日本語を磨き、日本語による思考を通して、相手に伝えるべき「私」を知ることが肝要なのではないか。伝えるべきものを持たなければ、英語という「道具」が流暢に使いこなせても、表面的なコミュニケーションに留まってしまう。言語教育の根本が問われているのである。
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