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私たちの主張

Opinion

平成30年2月2日

「特別支援学校教諭免許状の保有率について考える」

平成二十八年二月、文部科学省は各都道府県、政令指定都市等に対して特別支援学校教諭免許状の保有率向上のため、平成三十二年度末までにおおむね全ての特別支援学校教員が当該学校の免許状保有を目指すため、具体的な計画等を推進していくよう要請した。

■免許保有率を高める施策

 当該学校免許の保有率の向上のため、各都道府県や政令指定都市等ではすでに採用、配置、研修に関して具体的な施策等を施している。福岡県でも特別支援学校の教員採用については当該学校の免許状の保有を受験資格として規定し、特別支援学校在職中の教員で免許を保有していない者には、認定講習等の受講促進を図るとともに県教育センター等で行われる免許状取得のための研修に派遣するなどの取組を進めている。それらの成果として免許状保有率の改善は認められるところだが、文部科学省の示す「ほぼ全ての教員」の免許保有には相応の時間が必要と考える。すでに実施されている特別支援学校枠での採用とともに現職の教員配置にも踏み込み、昨年四月に出された「特別支援教育プラン」にも平成三十二年度末までに免許保有率95%を達成すると示しており、そのためのより強化した取組が進められると考える。

■免許保有率の向上で目指すもの

 教育職員免許法(第三条三)では、「特別支援学校の教員は、幼稚園、小学校、中学校又は高等学校の教諭免許状のほか、特別支援学校教諭免許状を有していなければならない」と規定している。特別支援学校では当該学校の免許状の保有率は決して高いとはいえない状況だったが、教員自ら研修し、各学校で専門性のある教育活動が推進されてきた経緯を考慮すれば、特別支援学校教諭免許状の有無で各学校の指導の質や専門性等が測られるものと断定はできない。しかし、通常の学級における特別支援教育が浸透して久しく、インクルーシブな教育環境の整備が求められていることから、長年の課題とされた免許状保有率の改善への動きがここにきて加速することは理解できる。

■担保されるべき専門性とは

 平成二十八年二月の国の要請に基づき、平成三十二年度には特別支援学校教諭免許の保有率向上の成果とともに、各学校で行われる教育の質的向上にも期待が寄せられる。特別支援教育が長年抱えてきた課題を解決しようとする国や県等の積極的な取組は歓迎される流れといえる。しかし、当該校種の免許の取得率を高めるだけで必要とされる専門性を担保し得る訳ではなく、各学校での教育力向上のためには他の配慮も必要だと感じることも多い。

■教育課程への配慮を

 特別支援学校では、配属される各教科の教員とその人数が偏り、教科別での教員配置に不均衡が生じている学校もあり、教育課程に示された教科を指導するための必要な教員数が十分に確保できていない例、逆に、教育課程にない教科の教員が複数配属される例もあるという。教育課程に設定された教科を指導するための各教科別での専門性は、当該障害種免許の専門性より軽視されるものでもないだろう。

■教育課程の円滑な接続に向けて

 さらに中教審特別支援教育部会では、インクルーシブ教育システム構築のために「連続性のある」、「多様で柔軟な学びの場」という概念を示している。また、学習指導要領改訂の基本的な考え方として「小・中・高等学校の教育課程との連続性」について触れ、特別支援学校(知的障害)と小・中・高等学校の各教科の関連性の整理と教育課程の円滑な接続を求めている。今まで打ち出されてきた免許保有率向上の取組についてその成果に対する評価も必要と思われるが、学校で求められる専門性は多様であり、幅広い専門性の確保と活用の視点から、柔軟な教員配置にも余地を残した段階的な制度移行が望まれるのではないかと考える。

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