平成31年2月21日
公立高校特色化への挑戦
■特色化選抜の実施
本年一月二十三日、福岡県内の私立高校が専願入試を実施する時期に合わせて、福岡県で初めて「公立高等学校特色化選抜」が実施された。県立高校十校、公立高校一校がこの新たな形の選抜試験を行った。福岡県教育委員会は「特色化選抜」の趣旨を、次のように記している。「学校の特色にふさわしい生徒の入学をより一層促進する観点から、生徒の多様な個性を積極的に評価する『特色化選抜』を導入し、県立高等学校の特色化及び活性化を図る。」
■県立高校の現状
昨年の九月末、来年度の高校入学定員が発表され、福岡県内の十八の県立高校が一クラス減(四十人減)となった。少子化に伴い、本年三月に卒業予定の中学三年生が前年比で約千人減少することへの対応である。入学定員減は、指導する教員減を意味する。生徒数の減少は、学校活性化のプラス効果になるとは考えにくい。このような状況下、入学定員の充足を課題と捉えている複数の高校が今回の「特色化選抜」に手を挙げた。
■特色化選抜の効果
「特色化選抜」が実施されたばかりなので、その効果を図ることはできないが、志願状況に関しては、概ね良好な高校が多い。一方で、福岡市内の、来年度から男女共学となる私立高校の専願入試の志願倍率が、昨年度よりも大幅に上昇するなど、私立高校の動向も注視しなければならない。公立高校も選抜方法だけでなく、それぞれの学校の持ち味を出して、一層特色化を進める必要があるのではないだろうか。
■高校改革へ「普通科」見直し
学校現場からだけではなく、「特色化」の波は、外からも起こっている。一月十八日、政府の教育再生実行会議は、高校改革に向けた検討の中間報告をまとめた。現在、高校進学率は九十八%を超え、うち約七割の生徒が普通科に在籍している。生徒の能力や興味・関心、進路などが多様化していることを踏まえ、「普通科」のあり方を見直すことを柱としている。普通科の画一的な学習内容が、生徒の多様化に対応しきれていないとの指摘も出ている。
■特色化推進のために
多くの高校が「特色化」を推し進めるために、これまで行ってきたことは、「学科の改編」「コースの新設」「制服の改変」等である。「普通科」の見直しも「特色化」の一つの手立てであろう。ここで、忘れてはならない手順がある。公立高校の「特色化」を有効に進めるためには、同学区あるいは近隣の公立高校と「特色」をすみ分けなければならないということである。それぞれの学校が「特色化」を推進するためには、他校との協力が不可欠であり、協議の場を設け、互いの目指す方向性について、情報を共有する必要がある。
■誰のための「特色化」か
公立高校であろうが、私立高校であろうが、学校にとって、生徒募集は最大の関心事の一つである。しかし「特色化」は、入学定員を充足させることが本来の目的ではない。前述の「特色化選抜」の趣旨にもあるように「学校の特色にふさわしい生徒の入学」が最も大切で、中学生が自分自身の高校生活をイメージし、進学先を選択しやすくするための「特色化」でなければならない。
■公立高校の強み
あまりアピールされていないが、公立高校の強みの一つは教員の研修体系であろう。各教育センターを中心に、新規採用の年から複数年に渡って、計画的な教員研修が実施されている。また、各学校ではそれぞれのニーズに応じて、計画的に校内の職員研修が実施されている。そのような研修を通して、教育活動の質を高めるとともに、教員間・学校間の繋がりを強め、「チーム公立」としての機能をいっそう高めている。それも公立高校の「特色」の一つであり、アピールポイントとして、さらに強調されるべきではないだろうか。
■特色化への挑戦
その学校の特色にふさわしい生徒たちが、活き活きと学校生活を送る。私たち教師が目指すべき学校像であろう。高校時代をどのように過ごすか、その後の人生に大きな影響を与える。だからこそ、研鑽を続ける教師集団を通して、生徒たちを鍛え、支える必要がある。「全人教育」を目標に掲げ、目の前の生徒たちに、真剣に接することを常とする、公立高校の「特色化」への挑戦は続く。
本年一月二十三日、福岡県内の私立高校が専願入試を実施する時期に合わせて、福岡県で初めて「公立高等学校特色化選抜」が実施された。県立高校十校、公立高校一校がこの新たな形の選抜試験を行った。福岡県教育委員会は「特色化選抜」の趣旨を、次のように記している。「学校の特色にふさわしい生徒の入学をより一層促進する観点から、生徒の多様な個性を積極的に評価する『特色化選抜』を導入し、県立高等学校の特色化及び活性化を図る。」
■県立高校の現状
昨年の九月末、来年度の高校入学定員が発表され、福岡県内の十八の県立高校が一クラス減(四十人減)となった。少子化に伴い、本年三月に卒業予定の中学三年生が前年比で約千人減少することへの対応である。入学定員減は、指導する教員減を意味する。生徒数の減少は、学校活性化のプラス効果になるとは考えにくい。このような状況下、入学定員の充足を課題と捉えている複数の高校が今回の「特色化選抜」に手を挙げた。
■特色化選抜の効果
「特色化選抜」が実施されたばかりなので、その効果を図ることはできないが、志願状況に関しては、概ね良好な高校が多い。一方で、福岡市内の、来年度から男女共学となる私立高校の専願入試の志願倍率が、昨年度よりも大幅に上昇するなど、私立高校の動向も注視しなければならない。公立高校も選抜方法だけでなく、それぞれの学校の持ち味を出して、一層特色化を進める必要があるのではないだろうか。
■高校改革へ「普通科」見直し
学校現場からだけではなく、「特色化」の波は、外からも起こっている。一月十八日、政府の教育再生実行会議は、高校改革に向けた検討の中間報告をまとめた。現在、高校進学率は九十八%を超え、うち約七割の生徒が普通科に在籍している。生徒の能力や興味・関心、進路などが多様化していることを踏まえ、「普通科」のあり方を見直すことを柱としている。普通科の画一的な学習内容が、生徒の多様化に対応しきれていないとの指摘も出ている。
■特色化推進のために
多くの高校が「特色化」を推し進めるために、これまで行ってきたことは、「学科の改編」「コースの新設」「制服の改変」等である。「普通科」の見直しも「特色化」の一つの手立てであろう。ここで、忘れてはならない手順がある。公立高校の「特色化」を有効に進めるためには、同学区あるいは近隣の公立高校と「特色」をすみ分けなければならないということである。それぞれの学校が「特色化」を推進するためには、他校との協力が不可欠であり、協議の場を設け、互いの目指す方向性について、情報を共有する必要がある。
■誰のための「特色化」か
公立高校であろうが、私立高校であろうが、学校にとって、生徒募集は最大の関心事の一つである。しかし「特色化」は、入学定員を充足させることが本来の目的ではない。前述の「特色化選抜」の趣旨にもあるように「学校の特色にふさわしい生徒の入学」が最も大切で、中学生が自分自身の高校生活をイメージし、進学先を選択しやすくするための「特色化」でなければならない。
■公立高校の強み
あまりアピールされていないが、公立高校の強みの一つは教員の研修体系であろう。各教育センターを中心に、新規採用の年から複数年に渡って、計画的な教員研修が実施されている。また、各学校ではそれぞれのニーズに応じて、計画的に校内の職員研修が実施されている。そのような研修を通して、教育活動の質を高めるとともに、教員間・学校間の繋がりを強め、「チーム公立」としての機能をいっそう高めている。それも公立高校の「特色」の一つであり、アピールポイントとして、さらに強調されるべきではないだろうか。
■特色化への挑戦
その学校の特色にふさわしい生徒たちが、活き活きと学校生活を送る。私たち教師が目指すべき学校像であろう。高校時代をどのように過ごすか、その後の人生に大きな影響を与える。だからこそ、研鑽を続ける教師集団を通して、生徒たちを鍛え、支える必要がある。「全人教育」を目標に掲げ、目の前の生徒たちに、真剣に接することを常とする、公立高校の「特色化」への挑戦は続く。
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