北教組違法献金問題〜教特法に罰則規定を〜
今年二月、北海道教職員組合(日教組系・以下北教組)の小林千代美民主党衆院議員に対する一六〇〇万円の違法献金事件が発覚した。事件に関わった北教組委員長代理、書記長、会計委員らが政治資金規制法違反の罪で逮捕され、そのうちの二名と、団体として北教組自体も起訴された。
この事件についての問題点を二つ挙げ、教員の政治的行為について検証する。
「主任手当」不正拠出の実態
まずこの不正資金一六〇〇万円は、各学校の主任主事に支給されていた「主任手当」を組合員に拠出させ、北教組がプールしていたものであり、いわば税金が民主党の選挙費用に流用されていたのである。
「主任手当」は、昭和五十一年、当時の文部省が主任等の制度化を開始するに伴い、主任にあたる教諭に対して手当を支給したもので、現在も一部の主任主事に継続して支給されている。
これに対し日教組は、「主任制度は学校という職場に職制を敷き、上意下達の管理体制を通して文部省の意向に沿った教育を行おうとするものであり、校務分掌を互選で決め、相互に援助しながら学校運営を行ってきたこれまでの民主教育を破壊するものである」として、主任制度に真っ向から反対し、その意志を示すため、「主任手当」を支給された組合員からその金額を拠出させ、反戦平和や人権教育などといった、自分たちの思想を広めるための運動資金としてきた。
このような問題行動に対し、文部省は昭和五十八年「主任制度および手当支給の趣旨の徹底について」という通知を各都道府県等の教育長あてに発令し、各学校の主任が手当を組合に拠出する行為は国民の不信を招き、学校教育水準の維持向上のための教育職員人材確保に関する特別措置法制定の趣旨を損なうものとして、主任制度および手当支給の趣旨の徹底を求めている。
今回の事件で北教組はこのような不正な資金回収によって莫大な金額を保有し、さらにその資金を違法に支出していたことが明るみに出たのである。
罰則のない教員の政治的行為
次に教員の政治的行為について考察する。教員公務員の政治的行為についてはそもそも教育公務員特例法(以下教特法)で厳しく制限されている。教特法第十八条第一項では「公立学校の教育公務員の政治的行為の制限については、地方公務員法第三十六条(政治的行為の制限)の規定にかかわらず、国家公務員の例による。」とし、地方公務員でありながらも、教員という特別な職にある身分であることから、教員に対する政治的行為をより厳格に規制している。ここに言う国家公務員の例とは、国家公務員法第一〇二条および人事院規則のことで、「政治的目的のために寄附金その他の利益を提供し、何らかの利益を得ようとすること」など十七におよぶ行為が政治的行為として制限の対象とされている。
以上のように教特法における教員の政治的行為の制限は、国家公務員法の定めに準拠しているが、実は教特法にはその行為に及んだ場合の罰則規定がないというのが国家公務員法との大きな違いである。 国家公務員法では、公務員が法に反した政治的行為に及んだ場合、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金が罰則として科せられるが、教特法第十八条の二項には「政治的行為の制限に違反した者の処罰につき国家公務員法による趣旨を含むものと解してはならない。」とあり、罰則を設けないことが明記されている。 このように教特法に罰則がないことによって、これまで教員の政治的行為が横行されてきたのが現実である。実際に北教組では以前から現職教員の組合員がビラを配ったり、電話で特定の候補の支持を訴えるなど、明らかに違法な選挙活動を行っていたとの報道もある。逮捕された三人の幹部は教職を辞して専従となったいわゆるプロ専であるので、教特法に抵触することはないと考えられるが、組合員を動員し、教員にあるまじき法を無視した行為を堂々と行っていた北教組全体の責任は極めて重い。
懲りない日教組
北教組が属する日教組の中村讓委員長は、先日開かれた臨時大会の中で「公平、公正な選挙による民主主義の確立のため、法令遵守の徹底を図る必要がある」と述べる一方で、「教育の政治的中立は当然だが、教職員組合の活動には政治活動や、法が許容する選挙活動が含まれる」と強調し「候補者を支援し、組合員に周知することは正当な組合活動だ」と開き直った。
また、教特法に罰則を盛り込む動きについては「時代錯誤の考えだ」と批判し、「教職員組合の政治活動が許されないという議論は全くの誤りであり、公務員の政治活動は制限撤廃の方向に進まなければならない」と主張したという。 この大会には民主党幹事長代行の輿石東氏も来賓として出席しており、中村委員長は、七月の参院選で日教組の組織内民主党候補を当選させることも呼びかけた。
輿石氏については、平成十六年の参院選で山梨県教組幹部が教員からの寄付を募り、それを輿石氏を支援する政治団体の収支報告書に記載しなかった問題が発覚しており、この事件では山梨県教組幹部が罰金の略式命令を受けている。
また、北教組も今回の幹部の逮捕起訴について「不当逮捕で、組織一丸となって闘う」という姿勢を見せている。日教組組織の全く反省も罪の意識もない反応にはあきれるばかりである。子供たちに倫理観や公徳心を教え導く教師の組織とは到底思えない。
北教組の異常な組合活動
北教組は日教組傘下でも旧態依然とした反体制運動を強硬に続けている組織で、最近の例では平成十九年、道教委が導入した査定昇給制度(人事評価により賞与を昇給する制度)に反対する目的で一時間のストを行い、争議行為を禁ずる地方公務員法違反により、一万二千名に上る大量処分者を出している。北教組は、政府が公務員にスト権を含む労働基本権を与えないのは労働者の団結権や団体交渉権を認めた国際労働機関(ILO)条約に違反しているとして、ILOに提訴までしている。
そのほかにも、機関誌で竹島問題に触れ、竹島は韓国領であると主張したり、今年の一月には北教組の支部が卒業、入学式で国旗・国歌を排除するための闘争マニュアルを作成し配付するなど、その非常識で異常な活動については枚挙に暇がない。
違法組合活動の徹底的追及が必要
今回の違法献金事件を受け、自民党とみんなの党は、国家公務員法と同等の罰則規定を盛り込んだ教特法改正案を衆議院に提出した。三月の衆議院予算委員会では鳩山首相も罰則規定適用の見直しを検討すると答弁し、川端文科大臣も検討作業を始めたことを明らかにした。
また、北海道教育委員会も三万人以上の教職員を対象に、組合活動や政治活動の有無を詳細に調査することを表明した。回答を拒否すれば職務命令違反として処分もあり得るという。福岡教育連盟はこれらの動きを大いに支持するとともに、組織の違法行為についての徹底的な追及を求めたい。
目の前の子供を蔑ろにし、法に反してまで己の身勝手な主張を繰り返し、教育関係者に対する社会の信頼を失墜させた行為は決して許されるものではない。
教特法に罰則規定を
福岡教育連盟は、以前から教員の違法な政治的行為について法による罰則規定を求め、教特法および地方公務員法の改正を中央交渉などで各方面に訴え続けてきた。今回ようやくその端緒が開けたわけであり、今後は一層訴えを強化して法改正を実現させ、今後このような違法活動を根絶するよう全力を挙げて取り組んでいく。
教育公務員は、子供たちの教育に責任を持ち、誠心誠意努力することによって社会の信頼を得ることが極めて大切であるという認識のもと、誇りと節度を堅持しつつ日々の教育活動に専念すべきであると考える。
この事件についての問題点を二つ挙げ、教員の政治的行為について検証する。
「主任手当」不正拠出の実態
まずこの不正資金一六〇〇万円は、各学校の主任主事に支給されていた「主任手当」を組合員に拠出させ、北教組がプールしていたものであり、いわば税金が民主党の選挙費用に流用されていたのである。
「主任手当」は、昭和五十一年、当時の文部省が主任等の制度化を開始するに伴い、主任にあたる教諭に対して手当を支給したもので、現在も一部の主任主事に継続して支給されている。
これに対し日教組は、「主任制度は学校という職場に職制を敷き、上意下達の管理体制を通して文部省の意向に沿った教育を行おうとするものであり、校務分掌を互選で決め、相互に援助しながら学校運営を行ってきたこれまでの民主教育を破壊するものである」として、主任制度に真っ向から反対し、その意志を示すため、「主任手当」を支給された組合員からその金額を拠出させ、反戦平和や人権教育などといった、自分たちの思想を広めるための運動資金としてきた。
このような問題行動に対し、文部省は昭和五十八年「主任制度および手当支給の趣旨の徹底について」という通知を各都道府県等の教育長あてに発令し、各学校の主任が手当を組合に拠出する行為は国民の不信を招き、学校教育水準の維持向上のための教育職員人材確保に関する特別措置法制定の趣旨を損なうものとして、主任制度および手当支給の趣旨の徹底を求めている。
今回の事件で北教組はこのような不正な資金回収によって莫大な金額を保有し、さらにその資金を違法に支出していたことが明るみに出たのである。
罰則のない教員の政治的行為
次に教員の政治的行為について考察する。教員公務員の政治的行為についてはそもそも教育公務員特例法(以下教特法)で厳しく制限されている。教特法第十八条第一項では「公立学校の教育公務員の政治的行為の制限については、地方公務員法第三十六条(政治的行為の制限)の規定にかかわらず、国家公務員の例による。」とし、地方公務員でありながらも、教員という特別な職にある身分であることから、教員に対する政治的行為をより厳格に規制している。ここに言う国家公務員の例とは、国家公務員法第一〇二条および人事院規則のことで、「政治的目的のために寄附金その他の利益を提供し、何らかの利益を得ようとすること」など十七におよぶ行為が政治的行為として制限の対象とされている。
以上のように教特法における教員の政治的行為の制限は、国家公務員法の定めに準拠しているが、実は教特法にはその行為に及んだ場合の罰則規定がないというのが国家公務員法との大きな違いである。 国家公務員法では、公務員が法に反した政治的行為に及んだ場合、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金が罰則として科せられるが、教特法第十八条の二項には「政治的行為の制限に違反した者の処罰につき国家公務員法による趣旨を含むものと解してはならない。」とあり、罰則を設けないことが明記されている。 このように教特法に罰則がないことによって、これまで教員の政治的行為が横行されてきたのが現実である。実際に北教組では以前から現職教員の組合員がビラを配ったり、電話で特定の候補の支持を訴えるなど、明らかに違法な選挙活動を行っていたとの報道もある。逮捕された三人の幹部は教職を辞して専従となったいわゆるプロ専であるので、教特法に抵触することはないと考えられるが、組合員を動員し、教員にあるまじき法を無視した行為を堂々と行っていた北教組全体の責任は極めて重い。
懲りない日教組
北教組が属する日教組の中村讓委員長は、先日開かれた臨時大会の中で「公平、公正な選挙による民主主義の確立のため、法令遵守の徹底を図る必要がある」と述べる一方で、「教育の政治的中立は当然だが、教職員組合の活動には政治活動や、法が許容する選挙活動が含まれる」と強調し「候補者を支援し、組合員に周知することは正当な組合活動だ」と開き直った。
また、教特法に罰則を盛り込む動きについては「時代錯誤の考えだ」と批判し、「教職員組合の政治活動が許されないという議論は全くの誤りであり、公務員の政治活動は制限撤廃の方向に進まなければならない」と主張したという。 この大会には民主党幹事長代行の輿石東氏も来賓として出席しており、中村委員長は、七月の参院選で日教組の組織内民主党候補を当選させることも呼びかけた。
輿石氏については、平成十六年の参院選で山梨県教組幹部が教員からの寄付を募り、それを輿石氏を支援する政治団体の収支報告書に記載しなかった問題が発覚しており、この事件では山梨県教組幹部が罰金の略式命令を受けている。
また、北教組も今回の幹部の逮捕起訴について「不当逮捕で、組織一丸となって闘う」という姿勢を見せている。日教組組織の全く反省も罪の意識もない反応にはあきれるばかりである。子供たちに倫理観や公徳心を教え導く教師の組織とは到底思えない。
北教組の異常な組合活動
北教組は日教組傘下でも旧態依然とした反体制運動を強硬に続けている組織で、最近の例では平成十九年、道教委が導入した査定昇給制度(人事評価により賞与を昇給する制度)に反対する目的で一時間のストを行い、争議行為を禁ずる地方公務員法違反により、一万二千名に上る大量処分者を出している。北教組は、政府が公務員にスト権を含む労働基本権を与えないのは労働者の団結権や団体交渉権を認めた国際労働機関(ILO)条約に違反しているとして、ILOに提訴までしている。
そのほかにも、機関誌で竹島問題に触れ、竹島は韓国領であると主張したり、今年の一月には北教組の支部が卒業、入学式で国旗・国歌を排除するための闘争マニュアルを作成し配付するなど、その非常識で異常な活動については枚挙に暇がない。
違法組合活動の徹底的追及が必要
今回の違法献金事件を受け、自民党とみんなの党は、国家公務員法と同等の罰則規定を盛り込んだ教特法改正案を衆議院に提出した。三月の衆議院予算委員会では鳩山首相も罰則規定適用の見直しを検討すると答弁し、川端文科大臣も検討作業を始めたことを明らかにした。
また、北海道教育委員会も三万人以上の教職員を対象に、組合活動や政治活動の有無を詳細に調査することを表明した。回答を拒否すれば職務命令違反として処分もあり得るという。福岡教育連盟はこれらの動きを大いに支持するとともに、組織の違法行為についての徹底的な追及を求めたい。
目の前の子供を蔑ろにし、法に反してまで己の身勝手な主張を繰り返し、教育関係者に対する社会の信頼を失墜させた行為は決して許されるものではない。
教特法に罰則規定を
福岡教育連盟は、以前から教員の違法な政治的行為について法による罰則規定を求め、教特法および地方公務員法の改正を中央交渉などで各方面に訴え続けてきた。今回ようやくその端緒が開けたわけであり、今後は一層訴えを強化して法改正を実現させ、今後このような違法活動を根絶するよう全力を挙げて取り組んでいく。
教育公務員は、子供たちの教育に責任を持ち、誠心誠意努力することによって社会の信頼を得ることが極めて大切であるという認識のもと、誇りと節度を堅持しつつ日々の教育活動に専念すべきであると考える。