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私たちの主張

Opinion

平成26年10月1日

祝日の意義を学び、誇りある国へ


祝日に関する新たな動き

超党派の国会議員らで構成される、海事振興を目的とした海事振興連盟が、「海の日」を制定当初の7月20日に戻す祝日法改正案を、先月の臨時国会に議員立法で提出した。平成8年から国民の祝日となり、平成15年以降は第三月曜日と制定された海の日は、再び固定化される動きである。
衛藤征士郎海事振興連盟会長は「海の恩恵に感謝する日だったはずが、単なるお祭りになってしまった。改正した暁には都道府県単位で海洋国家日本の発展を願う行事を開きたい」と述べている。
また、国民の祝日として新たに8月11日の「山の日」が追加され、平成28年からは祝日は年間16日となる。その数は世界的に見ても多い。

学校教育における祝日の指導内容

しかし、衛藤氏の指摘通り、日本の祝日はその意義や由来が十分に理解されておらず、単なる休日として受け止められている風潮が強い。一つの理由としては、それらを十分に学ぶ機会がないことが挙げられる。
小学校学習指導要領の第六学年社会の「内容の取扱」には「政治の働きと国民生活との関係を具体的に指導する際には,各々の国民の祝日に関心をもち,その意義を考えさせるよう配慮すること」とある。それを受けて、「国民の祝日に関する法律(祝日法)」に記された全ての祝日とその定義が掲載された教科書もある。
祝日法の第一条では「自由と平和を求めてやまない日本国民は、美しい風習を育てつつ、よりよき社会、より豊かな生活を築きあげるために、ここに国民こぞつて祝い、感謝し、又は記念する日を定め、これを国民の祝日と名づける。」と、国民の祝日の意義が述べられている。
続く第二条にはそれぞれの祝日が定義されており、例えば「勤労感謝の日」は「勤労をたつとび、生産を祝い、国民たがいに感謝しあう」日とある。しかし、この文言からは勤労感謝の日が11月23日である必然性は読み取れず、「国民こぞつて祝い、感謝」する精神は養われにくい。

「新嘗祭」から「勤労感謝の日」へ

11月23日は新嘗祭の日である。「新」は新穀を「嘗」はご馳走を意味し、その年の収穫を神とともに喜び、食物への感謝の気持ちを表す宮中祭祀の一つで、古事記に「豊葦原の瑞穂の国」と記された日本にとって非常に重要な、神話の時代から続く伝統と歴史ある収穫祭である。まさに「国民こぞつて祝い、感謝」する日であり、かつては地域や家庭でもその意義を教えられていたのであろう。
そのような日本文化に根付いていた新嘗祭の日が、勤労感謝の日へと姿を変えたのは、GHQのいわゆる「神道指令」によるものである。宗教的な儀式が禁止され、祝祭日を祭祀儀礼の日とする考え方が排除されたことにより、戦前に存在していた紀元節や天長節といった宮中祭祀に関するものを含めた12の祝祭日は、9日の国民の祝日へと変えられた。日本の神話、歴史、天皇と国民のつながりが絶たれてしまった結果、従来の祝祭日の意義が見えなくなってしまったのである。

日本への誇りを持たせるカギは祝日にあり

諸外国においては、アメリカの独立記念日やフランスの革命記念日のように、その国の歴史や建国にちなんだ重要な記念日には国を挙げてお祝いをする。しかし、日本では国旗掲揚率の低下が叫ばれて久しいことからもわかるように、祝日に国を挙げて祝うことはなく、前述したように単なる休日とみなされている傾向にある。
「国民こぞつて祝い、感謝」する日が祝日であるならば、なぜ祝い、何に感謝をするのかを学び、教えなければならない。日本建国の由来を知り、連綿と続いてきた日本の歴史や伝統を学ぶことで、日本に対する誇りや感謝する心は育まれる。祝日には国旗を掲げ、なぜ今日が祝日なのかを我が子に伝えることができる国民でなければならない。

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